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人は場所を探しているのではない。「ここに居てもいい」と思える関係性を探している。

山形県から下道で約4時間半。

朝6時に出発し、三条ベースを目指して来られたIさん。

理由を聞くと、数日前に山形新聞で三条ベースの記事を読み、「どうしても行ってみたかった」と話してくれました。

記事には子どもの居場所だけではなく、物々交換所ZUPPEや植物仕舞いの活動であるハッパとハチまで紹介されていたそうです。

植物がお好きなIさんは、リメイク鉢を手に取り、ZUPPEを楽しみ、とても喜んで帰られました。

そして帰り際、多くの来場者と同じ言葉を残していきました。

「山形県にも三条ベースができたら良いのに」

ボクはこの言葉を聞くたびに考えます。

人は本当に三条ベースを欲しているのだろうか。

もしかすると求めているのは建物でも活動でもなく、その奥にある何かなのではないかと。

地域づくりの世界では、施設をつくることやイベントを開催することが成果として語られます。

人を集めることが価値だと思われています。

しかし実際には、同じ建物をつくっても同じコミュニティにはなりません。

同じイベントを開いても同じ空気感は生まれません。

なぜなら、人が集まる理由と、人が帰って来たくなる理由は違うからです。

集客は仕組みでできます。

けれど関係性は積み重ねでしか育ちません。

三条ベースで起きているのは、子どもの居場所づくりでも、物々交換でも、植物の循環でもありません。

それらを通じて、人と人が自然につながり、自分の役割や存在価値を見つけていく営みです。

不要になったモノが誰かの必要になる。

誰かの課題が別の誰かの得意になる。

関係のなかった人同士が仲間になっていく。

そこには競争より補完があり、支援ではなく互助があり、課題相殺や互助育の実践があります。

社会は便利になるほど孤立を生みやすくなります。

サービスは増えるのに居場所は減る。

効率は上がるのに安心できる関係性は薄くなる。

だから人は遠くからやって来るのです。

移動距離の先にある建物を求めているのではありません。

その場所に流れている文化や関係性に触れたくて来るのです。

本当に必要なのは「三条ベースを増やすこと」ではないのかもしれません。

それぞれの地域に、その土地らしい関係性の循環を育てていくことなのだと思います。

人は仕組みをつくり、仕組みは人を育てる。

そして育った人が、また次の居場所を生み出していく。

三条ベースが評価されたから広がったのではありません。

建物が魅力だったから真似されたのでもありません。

そこで育まれた関係性や文化が、人から人へ受け渡されていったのです。

だから10年で新潟県内に5つのベースが生まれました。

それはフランチャイズでもなければ支店展開でもありません。

同じ名前を増やしたのではなく、同じ想いが別々の地域で根を張った結果です。

本質的に広がるものは施設ではありません。

文化です。

制度ではありません。

関係性です。

地域に本当に必要なのは、「三条ベース」という名前ではないのかもしれません。

その土地に暮らす人たちが、自分たちなりの形で互いを支え合い、育ち合い、役割を見つけられる文化なのだと思います。

伝統とは残すものではなく、手渡すもの。

文化とは教えるものではなく、受け継がれていくもの。

人とのご縁が未来をつくり、関係性の循環が地域の未来を育てていく。

Iさんの一言は、三条ベースへの賛辞ではなく、今の社会が求めているものを映し出す問いだったように思います。

あなたの地域には、遠回りしてでも行きたくなる場所がありますか。

そこにあるのは建物でしょうか。

それとも、人と人とのあいだに流れる見えない関係性でしょうか。

未来に残るのは施設ではありません。

その場所で育まれた文化なのかもしれません。

三条ベース

地域循環

互助共創

課題相殺

互助育

▪️プロフィール▪️

2011年、AND-ONを創業。

小規模企業・中小企業に寄り添う独自のブランディング理論「NANOBRAND」を確立。

2019年にNANOBRAND合同会社を設立し、企業支援と地域共創事業を展開。

また、2016年に開設した
「三条ベース」では、

子どもの居場所づくり、
地域交流、高齢者支援、
障がい者自立支援、
資源循環を組み合わせた
課題相殺型コミュニティを実践。

現在はその経験を活かし、

中小企業の経営支援、
地域活性化事業、
社会課題解決型プロジェクトの企画・運営を行う。

企業・行政・市民をつなぐ
「仕組家」として活動。

■ 主な実績

・独自ブランド理論
「NANOBRAND」を確立

・全国3,000社以上の
中小企業支援実績

・中小企業庁「ミラサポ」
ベストパートナー賞受賞

・2004年 グッドデザイン賞受賞

・三条ベース、
ZUPPE燕三条を開設・運営

・NIKS地域活性化大賞受賞

・新潟大学
地域共創特別演習(三条)
非常勤講師

■ 得意分野

・中小企業ブランディング

・経営戦略・事業構築支援

・地域活性化プロジェクト

・社会課題解決型事業の設計

・コミュニティデザイン

・課題相殺モデルの構築

・互助育プログラムの開発

企業の成長と地域課題の解決を同時に実現する
「まちぐるみの仕組みづくり」を支援。

高橋 憲示
NANOBRAND合同会社
代表社員 CEO・仕組家

この記事を書いた人
NANOBRAND合同会社 代表社員 兼 CEO(仕組家) 1971年、新潟県三条市生まれ。メーカーでブランディング、商品開発を修得したのち2011年に現法人であるNANOBRAND.LLCの前身の事業、AND-ONを創業する。 社会課題解決型ビジネスで持続可能な未来を実現するため、3000社以上の経営者を支援し、民間企業連携による循環社会の形成や官民協働の仕組みを構築する。 2015年に立ち上げた三条ベースは、社会課題解決をテーマにしたソーシャルコミュニティスペースとなっており年間のべ1万人以上が来場する。現在は行政・団体からの視察受け入れや講演活動を精力的に展開する。
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