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防災庁設立から考える~地域住民主導型レジリエンス社会の到来~

防災庁設立が意味するもの

2026年11月2日、防災庁が設立される。

多くの人は、防災体制の強化や災害対応の迅速化という視点でこの出来事を見るかもしれない。

もちろん、それは非常に重要な意味を持つ。

しかしボクは、この出来事を単なる行政組織の新設としてではなく、日本社会そのものが新しい段階へ進む象徴として捉えている。

それは、「守られる社会」から「支え合う社会」への転換である。


公助だけでは解決できない時代へ

これまでの日本社会は、公助を中心に設計されてきた。

困った時は行政が支える。 災害時は行政が助ける。 課題は制度で解決する。

その仕組みは長年にわたり私たちの暮らしを支えてきた。

しかし、人口減少、少子高齢化、頻発する自然災害、地域コミュニティの希薄化など、社会課題は年々複雑さを増している。

行政職員の皆さんも、増え続ける課題と限られた人的資源の中で、日々奮闘されていることと思う。

だからこそ今、世界中で注目されているのが「レジリエンス社会」という考え方である。


レジリエンスの本質はどこにあるのか

レジリエンスとは、単に災害に強い社会を意味する言葉ではない。

困難が起きても立ち上がれる社会。

誰かが困っても孤立しない社会。

地域そのものが自ら機能し続けられる社会。

その本質は、防災倉庫の中や行政計画の中だけに存在するものではない。

人と人との関係性の中に存在している。

食料や水の備蓄はもちろん大切だ。

しかし、本当に困った時に人を支えるのは、「知っている人がいる」という安心感である。

声を掛けられる人がいる。

相談できる場所がある。

そして、自分にも誰かの役に立てる役割がある。

防災の本質とは、人間関係の備蓄なのかもしれない。


三条ベースが実践してきたこと

ボクが三条ベースで取り組んできた互助育や課題相殺、地域共創も、振り返ればまさにレジリエンス社会の実践だったように思う。

三条ベースには衣類や食器が集まる。

つばめベースには食品が集まる。

新潟ベースには日用品が集まる。

それぞれが地域に必要な機能を持ちながら、市民同士の助け合いによって循環している。

一見するとリユース活動や福祉活動に見えるかもしれない。

しかし本質は物資の循環ではない。

信頼の循環である。

「ありがとう」が循環し、ご縁が循環し、役割が循環している。

人は仕組みをつくり、仕組みは人を育てる。

その営みの積み重ねが、地域の見えない防災力になっているのである。


地域住民主導型レジリエンス社会へ

災害が起きてから助け合うのではない。

平時から助け合いが当たり前になっている。

困った時だけ人を頼るのではない。

普段から関わり合い、役割を持ち合っている。

それこそが地域住民主導型レジリエンス社会の姿ではないだろうか。

人は欠けているから支え合うのではない。

誰もが役割を持っているから支え合える。

そして人は支え合いながら育つ。

互助育とは、その環境そのものを育てる営みでもある。


防災庁の先にある本当の問い

防災庁設立の本当の意味は、行政がすべてを担う社会の強化ではないように思う。

むしろ、行政と市民が共に地域を支える新しい社会への移行を示しているのではないだろうか。

未来の安心は、倉庫の中だけではつくれない。

地域の中に信頼を蓄え、人とのご縁を循環させ、互いの役割を結び直していく。

その積み重ねこそが、非常時の強さとなり、平時の安心となる。

もし防災の本質が人間関係の備蓄にあるのだとしたら。

あなたの地域には、人が自然と集まり、役割を持ち、支え合える場所があるだろうか。

これからの時代に必要なのは、防災拠点だけではなく、人と人とのつながりを育てる「ベース」なのかもしれない。


地域循環フェス2026で見える未来

11月14日(土)、三条市環境啓発施設「かんきょう庵」にて開催される「地域循環フェス2026」では、新潟県内で活動する5つのベースが集結する。

そこには机上の理論ではなく、すでに地域の現場で実践されているレジリエンス社会の姿がある。

衣類が循環し、食品が循環し、日用品が循環する。

しかし、実際に循環しているのは物だけではない。

人であり、役割であり、信頼である。

そして、それこそが地域の底力なのである。


行政職員の皆さまへ

行政課題が複雑化し、職員数や予算に限界が見え始めている今だからこそ、地域の中に存在する「市民の力」に目を向けていただきたい。

市民は支援を受けるだけの存在ではない。

地域課題を共に解決するパートナーでもある。

地域循環フェス2026では、市民が主体となり、互助によって課題解決に挑戦している実践事例を直接見ることができる。

防災、福祉、子育て、資源循環、地域交流。

一見別々に見える課題が、実はひとつの仕組みの中で解決され始めている現場がある。

「行政が何をするか」

ではなく、

「地域と共に何ができるか」

そのヒントを探しに、ぜひ会場へ足を運んでいただきたい。

未来のレジリエンス社会は、制度だけでは生まれない。

人と人とのつながりの中から生まれる。

その萌芽が、ここ三条にある。


#レジリエンス社会 #防災庁 #地域共創 #互助育 #課題相殺

▪️プロフィール▪️

2011年、AND-ONを創業。

小規模企業・中小企業に寄り添う独自のブランディング理論「NANOBRAND」を確立。

2019年にNANOBRAND合同会社を設立し、企業支援と地域共創事業を展開。

また、2016年に開設した「三条ベース」では、

子どもの居場所づくり、地域交流、高齢者支援、障がい者自立支援、資源循環を組み合わせた課題相殺型コミュニティを実践。

現在はその経験を活かし、

中小企業の経営支援、地域活性化事業、社会課題解決型プロジェクトの企画・運営を行う。

企業・行政・市民をつなぐ「仕組家」として活動。

■ 主な実績

・独自ブランド理論「NANOBRAND」を確立

・全国3,000社以上の中小企業支援実績

・中小企業庁「ミラサポ」ベストパートナー賞受賞

・2004年 グッドデザイン賞受賞

・三条ベース、ZUPPE燕三条を開設・運営

・NIKS地域活性化大賞受賞

・新潟大学 地域共創特別演習(三条)非常勤講師

■ 得意分野

・中小企業ブランディング

・経営戦略・事業構築支援

・地域活性化プロジェクト

・社会課題解決型事業の設計

・コミュニティデザイン

・課題相殺モデルの構築

・互助育プログラムの開発

企業の成長と地域課題の解決を同時に実現する「まちぐるみの仕組みづくり」を支援。

高橋 憲示
NANOBRAND合同会社 代表社員 CEO・仕組家

この記事を書いた人
NANOBRAND合同会社 代表社員 兼 CEO(仕組家) 1971年、新潟県三条市生まれ。メーカーでブランディング、商品開発を修得したのち2011年に現法人であるNANOBRAND.LLCの前身の事業、AND-ONを創業する。 社会課題解決型ビジネスで持続可能な未来を実現するため、3000社以上の経営者を支援し、民間企業連携による循環社会の形成や官民協働の仕組みを構築する。 2015年に立ち上げた三条ベースは、社会課題解決をテーマにしたソーシャルコミュニティスペースとなっており年間のべ1万人以上が来場する。現在は行政・団体からの視察受け入れや講演活動を精力的に展開する。
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