自分らしく活かされるためのブランディング

【共同創造のチカラ】社会の「困った」を掛け合わせ、新たな価値に変える「課題相殺」という選択肢

【共同創造のチカラ】社会の「困った」を掛け合わせ、新たな価値に変える「課題相殺」という選択肢

私たちは今、多くの複雑な社会課題に直面しています。

少子高齢化、福祉の担い手不足、深刻なフードロス、増え続ける空き家……。

どれも一朝一夕には解決できない重いテーマばかりですが、これらを「バラバラに解決しようとするから難しくなる」のだとしたらどうでしょうか?

今回ご紹介したいのは、NANOBRAND合同会社のCEOであり、当メディアが注目する高橋憲示氏が提唱する「課題相殺(かだいそうさい)」という考え方です。

一見するとまったく異なる社会の「困りごと」を町ぐるみで掛け合わせ、お互いのマイナスをプラスへと相殺していく。これこそが、これからの地域社会に必要な「共同創造(コ・クリエーション)」のチカラです。

■ 「課題相殺」の仕組み:支援と削減の掛け算

世の中の社会課題は、大きく分けると2つのベクトルが存在します。

  1. 支援課題(ヒトに関する課題): 障がい福祉、児童福祉、高齢福祉、生活困窮など
  2. 削減課題(モノ・バショに関する課題): フードロス、ごみの減量化、空き家対策など

「課題相殺」とは、これらを単体で解決しようとするのではなく、各省庁が抱えるテーマを横断し、立体的に掛け合わせるソーシャルビジネスの仕組みです(画像「image_0d170a.png」参照)。

例えば、以下のような「掛け算」が地域の中で生まれています。

  • 【モノ × 人】衣類の廃棄 ✕ 困窮・福祉支援年間約79万トン(15億着)も廃棄されている衣類や不用品を循環させ、家計の負担軽減や福祉現場での活用に繋げる。
  • 【人 × 食】食品廃棄対策 ✕ 福祉の担い手不足年間523万トンにのぼる食品廃棄(規格外野菜や未利用魚など)を福祉の現場で活用する。また、減少する農業人口の不足を、福祉の力(農福連携など)で補い合う。
  • 【人 × 場】空き家・廃校 ✕ 福祉・過疎化対策全国で348万戸あるとされる空き家や廃校を、福祉による居場所や、地域外からの移住促進の「場」として再定義する。

これらは単なるボランティアではなく、持続可能な「ソーシャルビジネス」として構築されています。

■ 思考から実践へ。動き出した「課題相殺」の4つのリアル

この「課題相殺」は、決して机上の空論ではありません。すでにこの思想に共鳴し、地域の「いらない(削減課題)」を「だれかの助かる(支援課題)」へと美しく変換しているユニークな事業やプロジェクトが稼働しています。

1. まちの物々交換所「ZUPPE(ズッペ)」

新潟の方言で「おあいこ」「おたがいさま」を意味する言葉に由来する、日本初の常設ギフトエコノミーストア(物々交換所)です。家庭で使われなくなった衣類や雑貨、書籍などの不用品を持ち寄り、必要な人に無料で譲る仕組みを通じて、ごみの減量化と子育て世代や生活困窮者の家計負担軽減を同時に実現しています。

2. 古着物の洗浄・解体・再生「engimonoプロジェクト」

高齢者の生前整理や家の片付けなどで手放される「古い着物」を、ただ廃棄するのではなく回収・洗浄・解体し、新たな価値を持つ製品や素材として再生させるプロジェクトです。地域の縁起や物語を紡ぎ直し、モノの寿命を延ばす取り組みを行っています。

3. 水産×福祉の地域連携「エソカラエシカル」

近年、新潟の海で漁獲量が増えているものの、小骨が多く調理が難しいため市場で敬遠されてきた未利用魚「エソ」に着目した水福連携プロジェクトです。障がい者就労支援施設と連携してエソの下処理や焼き干し加工を行うことで、水産資源の有効活用(フードロス削減)と、福祉就労の場づくり・所得向上を同時に達成しています。

4. 役割を終えた植物の引き取り「植物じまい」

観葉植物とリメイク鉢のお店「888(ハッパとハチ)」が取り組む、植物のライフエンド(終活)に寄り添うサービスです。高齢や引越し、オフィスの閉鎖などで育て続けることが難しくなった植物を責任を持って引き取り、丁寧に育て直して次の使い手へと繋ぎます。植物の命を無駄にせず、育てる人の心理的負担も軽減する仕組みです。

■ 共同創造を実現するために:一人ひとりが「自分の使命」に目覚めるとき

では、この「課題相殺」の輪を私たちの地域で広げ、本当の意味での「共同創造」を実現するためには、何が必要なのでしょうか?

それは、地域を担う個々が、自分自身の使命に目覚めて自覚することです。

「誰かがやってくれるだろう」という他人事ではなく、「自分には何ができるか」「何のためにこの地域で生きるのか」という自らのミッションに気づくこと。そして、その使命に基づいた小さな事業やアクションを、一人ひとりが実際に起こしていくことです。

そして最も大切なのが、「和によってつながる」ということ。

強い個が孤立するのではなく、お互いの凸凹(強みと課題)を認め合い、「和」の精神でつながることで、町全体がひとつの大きな、温かいエコシステムへと進化していきます。

結びにかえて:あなたの「小さな気づき」から始まる

あなたの周りにある「もったいない」や「困った」は、もしかしたら別の誰かの課題を解決する最高のピースかもしれません。

一人ひとりの使命の目覚めと、それらを繋ぐ和のチカラ。

私たちと一緒に、この「課題相殺」の視点から、新しい地域の未来を共同創造していきませんか?

この記事を書いた人
NANOBRAND合同会社 代表社員 兼 CEO(仕組家) 1971年、新潟県三条市生まれ。メーカーでブランディング、商品開発を修得したのち2011年に現法人であるNANOBRAND.LLCの前身の事業、AND-ONを創業する。 社会課題解決型ビジネスで持続可能な未来を実現するため、3000社以上の経営者を支援し、民間企業連携による循環社会の形成や官民協働の仕組みを構築する。 2015年に立ち上げた三条ベースは、社会課題解決をテーマにしたソーシャルコミュニティスペースとなっており年間のべ1万人以上が来場する。現在は行政・団体からの視察受け入れや講演活動を精力的に展開する。
SNSでフォローする

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です