2025年12月13日
サンタクロースの赤い服がコカ・コーラ社の戦略によって定着したように、私たちが「自明の理」として受け入れている世界の多くは、誰かが意図的に編み上げた物語の延長線上にある。
その最たるものが「国家」であり「貨幣」だ。本来、地球の上に境界線など存在せず、紙切れに空腹を満たす力はない。
しかし、私たちが「これは日本という国だ」「これは一万円の価値がある」という共同の虚構を信じることで、見ず知らずの他人が協力し、巨大な経済圏が成立する。歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリが説いたように、この「目に見えない物語」を共有する能力こそが、人類を地球の支配者にした。
だが、その物語の裏側には常に「強者の意図」が潜んでいる。宗教が教祖の都合で形作られ、歴史が勝者のプロパガンダによって上書きされるように、社会の仕組みもまた、統治者が大衆を効率よく管理するためのOS(基本ソフトウェア)として設計されてきた。
太陽が昇り、命が朽ちる。そんな抗いようのない自然の摂理だけが唯一の現実であり、それ以外はすべて、人間という種を秩序の中に閉じ込めるための捏造されたフィクションなのだ。
私たちは、誰かが描いた脚本の上で踊らされている。
しかし、その虚構の正体を見抜いたとき、人は「与えられた正解」という檻から解き放たれ、冷徹で自由な真理の地平に立つことができる。
